🌸プラムブリーズ🌸Plum Breeze

森と清流に囲まれて自然に呼吸が深くなる☺。Living with Joy, Yoga, Meditation, Access Bars®, EM, etc. somewhat spritual.

モーゼスおばあさんの絵の世界

2012
27
秋の夜長は読書の季節。古書店で見つけたちょっといい本をご紹介。
「モーゼスおばあさんの絵の世界(田園生活100年の自伝)」アンナ・M.R.モーゼス著・加藤恭子訳(未来社)

農婦として10人の子供を育て、75歳でリューマチになってから絵を描き始め、101歳で生涯を閉じた、アンナ・MR・モーゼスの自伝です。グランマモーゼスは、アメリカ人なら知らない人はいないというほど、有名な画家です。

絵の世界というタイトルがついていますが、絵のことはほとんど書いてなくて、グランマモーゼスの先祖の開拓者たちの話からスタートし、子供時代から晩年までの自給自足の農村生活が生き生きとつづられています。そしてそれがとても素敵なのです。
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飼ってる牛からミルクやバターを作り、森のメープルの樹液からシロップとシュガーを作り、牛の廃用脂からローソクを作り、古油と木灰で石けんを作り、羊からとった毛をつむいで布を織って背広をつくり・・・なにからなにまで手作り。

農薬や化学肥料や添加物を、まったく使わないのがあたりまえだった当時の材料で作られたシチューやケーキといったお料理のお味は、どんなだったんだろう。想像するしかないですけど、すっごくおいしそう~

毎日の農場の世話のほかには、月曜日は洗濯、火曜日はアイロンがけとつくろいもの、水曜日はパン作りと掃除、木曜日は縫い物・・・というふうにシンプル。お風呂は土曜の午後に、浴槽を台所に運んできてはいる。

ロシア民謡にも「月曜日に市場へ出かけ~♪・・・テュリャテュリャリャ~」という唄がありましたね。子供のころから、一日にひとつのことしかしなくて、そんな生活はありえない、あれは唄だからそうなのかと思っていたけれど、ほんとうに昔はみんなそんなペースで暮らしていたのかもしれません。今は無駄に忙しいな~、なんて思ったり。

お医者さんにかかることもほとんどなくて、たいていは自然療法で治してしまう。リューマチの痛みは、松脂を垂らした甘いミルクを毎日3杯飲んで、治したそうです。

一方で、当時、どこの家も子だくさんだけれど、肺炎や結核で若いうちになくなる人も多かったから、モーゼスの兄弟も、子供たちも何人かは若いうちになくなったり。どちらがいいのかわからないけれど、薬漬けや病院のベッドにチューブをたくさんつけて寝ていたり、ということはなかったみたい。老年になっても、痴呆とかアルツハイマーという言葉もなかったくらい、意識がはっきりした状態で、あっけなく亡くなっていったようです。

モーゼスの兄弟が若いうちに亡くなったとき、モーゼスのご両親は「生まれた者は、死ななければならないのだよ」と冷静に受けとめていたのだそう。人は生きて死ぬ。そうなんだけど、今の時代、人の誕生と死を目にする場所はたいてい病院で、日常と少し離れた場所にあるから、この言葉にハッとしてしまいました。大家族があたりまえの時代だから、ひとりひとりの人の生死の比重がうすかったのかもしれないけれど。大家族って悲しみを分け合って少しずつになり、喜びは何倍にもなるのかもしれません。

今よりほんの少し前の人々の暮らしぶりが淡々と描かれているだけで、とりたててすごいことが書いてあるわけでもないのに、なんだか読みながらいろいろ考えさせられたり、心の深いところになにか錨をおろされるようなそんな本でした。日々の暮らしを慈しみ描いたモーゼスの絵が、人々に感銘を与え続けているのは、日常を愛し、そのときを懸命に生きる、ということが大切なことである、ということを思い出させてくれるからなのかもしれません。