ヨガ・ボディ~ポーズ練習の起源/About a book "YOGA BODY"
2017
26
あまり読みやすい本じゃないです。調査ものなので、いつ頃どこのだれがこんなこといってこんなことをやってこんなものが出版されて・・・という事実関係がメインなので。数多くの関係者が次から次から出てきて、聖書の年代記のように、人名がたくさん出てくるのでめまいがしてきます。えーと、どこのだれがどうだったっけかー、と途中でわからなくなったりします。
そして、ヨガというのは、数千年前からインドに伝わる聖なるもので・・・うんぬん、というヨガ伝説の信奉者にも、たぶん読みにくい本だろうと思います。
ヨガはあった。昔からインドに。ヨガの古典書もあった。いくつかの浄化法、いくつかの呼吸法、いくつかのアサナと呼ばれるポーズも書かれていた。でも今主流となっている数々のポーズをするヨガとはかなりちがっていた。そこらへんはヨガ事情に多少くわしい人なら知っていることだろうけど。
20世紀前、アクロバティックなポーズをとる人々は、汚らわしい見世物大道ヨガ芸人で、さげすまされる存在だった。派手なポーズをしなくても、ヨガをする人(ヨギ)は、うさんくさくてアブナイまじない師のように思われていた。はずなのに、近代になって、ポーズをするヨガが、こんなに盛んになって、それとともにヨガの地位が急上昇したのは、どうしてなのか。そこらへんの経緯がずいぶん丹念に調べあげられています。
読むほうとしては、へええ、ボディビルやら武術やら欧米の体操やらダンスやら、いろいろな人がいろいろ盛りこんでくれたんだねえ、やっぱり時代の流れとともに、なんでも変わっていくのねえ、と感慨深く読むしかないんですが、(著者が西洋の人だから、西洋ものにポーズ元ネタがかたよってる感もあったりするけど、そこはしょうがない)、けっこうおもしろいヨガの裏事情。
インド独立の気運の高まった時代背景。めざせ強いインド、身体もきたえなくっちゃ、インドのオリジナリティ再発見して自信を持とうよ、という潜在的ニーズが、このころにはあったのでしょうね。それらと連動して、西洋にまけない論理性と機能性をともなった、エクササイズとしてのヨガが作られていくようすも感じられます。そしていつの時代にも、権威づけをしたくなるようで。いわく、だれそれ先生のお墨付きですとか、どこそこの団体のお墨付きですよとか(笑)。
去年上映されたクリシュナマチャリヤの記録映画、「ヨガのルーツを探る旅・聖なる呼吸」でも、静かなるヨガの呼吸の舞台裏には、めまぐるしく変わるインドが、しっかりと映し出されていて、そこがものすごく印象に残ったのを覚えています。「あるヨギの自叙伝」のヨガナンダも、亡くなったのは、たしかインド独立を見届けた直後だったように記憶しています。ヨガでもなんでも、その時代のその世界の大きな流れの、ひとしずくなのだなあ、なんて感じたりします。
ボリュームもあってすらすら読める、という本ではないけれど、多少なりともヨガに関わるものとしては、ヨガの裏話はなんであれ、たいへんおもしろく読めるものですね。
ちょっと残念なのは、映画もそうだけど、クリシュナマチャリヤの弟子として出てくるのが、パタビジョイス、アイアンガーのふたり。初の女性弟子のインドラ・デヴィという方がいるはずなのですが、この人もかなり欧米で活躍していたはずなので、触れてほしかった。あまりこの人の情報、日本では見かけないので特に。
そして、今の日本はヨガが百花繚乱。これもヨガですかあ?というものもけっこうあったりするけれど、近代ヨガの歴史を知るにつれ、大雑把な私などは、ま、なんでもありでいっか、なんでも変化していくもんですよね、出自はどうでもいい、つかえるものだったらね、という気になってしまうのでした。
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